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MCカスリッパ→abisoourou@gmail.com(先頭のabを削除してください)

2015-07-24

長いスロープを通り抜けて桟橋にたどり着いた時には、もう夕暮れが終わろうとしていた

隣の妊婦は誰かの責任を追求するために魚市場で倒れたのだが、抱き起こした仲買人に売られてこの浜辺にやってきたのだと言う。ハマナスがきれいに咲いている。
このボートに乗って縁者の国まで出かけようと誘う妊婦に視線を逸らしながら、奥歯にピーナッツが挟まって取れないことが気になっていた。このピーナッツは3日前からここにあり、常にピーナッツの存在を意識する自分という過去の陰をひきずって歩いていた。風が止めば船出は無理よ、そういう寝言を繰り返すモノノケの横顔。マシンガンがあったらとっくに空席の目立つ競技場になっていただろう。セメントの袋が体にまとわりついている。風は順風だ。ホタテをつまみに缶ビール。眠い目をこすっているうちに景色が落涙してきた。だまされたわけではない、という自己申告を信じるホトトギスではない。それより薪を探そう、消し炭になるまでは暖が取れる。セメント袋には鶏の死体が入っていた。焼いて食べよう、ダメよそれは病気の死体なのよ。それなら浅瀬に貝くらいあるだろう。人工甘味料のホタテよりそっちの方が男盛りだ。ふんどし締めて、海に自己愛を投入する。