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2015-07-05

旅先から指先へと伝わる感触

背中に瘤があって、それを。
リンゴの木の下で間違え探しをして、覗きこむ絵本、咳の響く食堂、地下に政治犯がいて毎朝リンゴジュースを飲む、その音が靴下に張り付いている、床下から冷気が登り、樹木の根がタイルを割ってひろがっている(存在を溶解する闇)、堅固な建物から割り切れない思いがにじんでいる、判断力がセメダインにように皮膚にくっついている、それは幾日後に剥がれ落ちるのか、全身脱皮したい、美容院でリクエストさされた(胸を、その後、局部を)。
人生の席替えをしたい、帰宅困難者の顔で吐く息は白く駅前のロータリーで右折するバスをベンチで座って見ていた。人生を形作るのが恋愛だと未だに信じている人たちが乗るバスが揺れながら遠ざかる。ベンチで隣に座っているのが夏目漱石だ。彼からいくつかの万年筆をもらった。もう筆を折るので廃品なのだと言う。日記を書くことさえ億劫になった。あのバスは砂丘に向かっているのですよ、と声がする。そこには、乾燥した小鳥とそれを並べている屋台があって、浅黒い皮膚をしたセミが店番をしている。君のむき出しの歯のような波頭が見える。歯槽膿漏の人の息は野良犬の臭いがするので追い払うが、それでも背後を付いてくる。彼には彼の目論見がある。それで僕に付いてくるのだが、、、。掘ったて小屋を愛する余り、海辺で自死した。当たり棒を卒塔婆のように砂に挿して日帰り旅行は駅前で終了。苦手意識の克服か。カラオケ教室の先生みたいに、「我が心驟雨にまみれ」「引き潮の街角で」「太陽との距離」連続して歌謡、ボックスを出るとざらついたアスファルトの上に魚の死体が続いている。まだ生きているのもあるが、腐敗臭が漂っている。今朝、ゴミ出すのを忘れた、、、マンションの壁面を救急隊がロープでよじ登る帰宅途中。